1.山下みどり台小学校で「みどりの森」の集い開催

 横浜市立山下みどり台小学校(青葉区)は宮脇昭横浜国立大学名誉教授を迎え、開校間もない校庭に自然生態系に叶った校庭の森づくりをと2008年2月18日、全校生徒、先生方、地域の方々、PTAなどの関係者一同が協力して植樹祭を行いました。当会はその植樹の手配や苗木提供、植樹指導などを行いました。(どんぐりくん15周年記念特集号参照)

  10年目を迎えた2018年2月18日、当時の佐藤正子校長はじめ、植樹祭開催に資材提供、作業提供など様々な形で協力された地域の方々や現職の先生方約50名が集い、森の生長の観察を兼ねて、「みどりの森」の集いが開催され、当会石村理事長も参加しました。当会が育てた苗は立派な樹木群に生長、隅々までしっかりと管理されている樹木の姿は、山下みどり台小学校が愛と気遣いに溢れた学校であることを自ずと証明しているようでした。このような会が開催されること事態が希有なことであり、地域一丸となって孫子の教育に関わる姿勢は素晴らしいことです。

校門近くの樹木群 校舎の高さに負けぬ生長 植樹当時の話に花が咲く

校門近くの樹木群

校舎の高さに負けぬ生長

植樹当時の話に花が咲く

      

2.千葉県体験活動ボランティア活動支援センターの活動

体験発表する伊藤一輝君

体験発表する伊藤一輝君

 同センターでは県内の希望する高校生にボランティア体験講座を毎年開催、当会もボランティア体験可能な団体として石村理事長が活動紹介を行っています。夏休みに当会圃場で発芽した苗の移植作業などの体験をした成田高等学校の伊藤一輝君が体験発表をした写真が同センターに勤務する当会会員の村田静枝さんから送られてきました。この育苗体験後、植林はなんと縄文時代からなされていたことなどを調べ、体験から学習が大きく発展した様子が伺えます。今後、このような青少年育成活動が増えるようにと思います。

 また、支援センターでは7月~3月にかけて、近隣の小学生4年生から6年生を対象に子どもたちのやりたいを
実現させる、子どもたち主体の「子どもチャレンジプロジェクト」を開催、そこで得た収益金の一部を当会にご寄付下さいました。深く感謝申し上げます。

3.当会の活動が紹介されました

 下記の機関誌に当会の活動が紹介されました。

林野-RINYA- 2017年10月号

林野-RINYA-  2017年10月号

 

林野-RINYA-  2017年10月号
発行: 林野庁

記事:日本の林業遺産を知ろう
   全国緑化行事発祥の地
(一社)日本森林学会林業遺産選定委員 森林総合研究所主任研究員  平野悠一郎

発祥の地の歴史的意義とその地の発見に至る関係者の努力、そして現在、当会を中心に行われている森普請の様子などを紹介。

 


CROSS T&T

CROSS T&T

 

CROSS T&T
Comprehensive Research Organization for Science and Society No57  2017.10
発行:(一財)総合科学研究機構 (主につくば市の研究機関等対象)

記事:(特集)地域の多様な担い手 
    筑波山の植樹活動から森を考える  石村章子

10年間継続しての筑波山神社林内での水源の森づくりについて、目的、手法、課題等5頁に渡っての記述。

 


ぐりーん&らいふ2017年冬号

ぐりーん&らいふ2017年冬号

 

ぐりーん&らいふ 2017年冬号
発行:農林中央金庫  食農法人営業部台業第五部
編集制作:一般社団法人 農協協会

記事:森林ボランティア
    苗木でつなぐ都市(マチ)と山村(ムラ)  林政ジャーナリスト吉藤敬

苗木の育成から筑波山での森の再生、参加者の森林、林業体験などに取り組む当会の活動を紹介。

 

  

4.森活プロジェクト開催のお知らせ

森活プロジェクトチラシ

画像をクリックするとPDFファイルが開きます

 茨城県桜川市真壁町から入山する筑波山北側の「全国緑化行事発祥の地」は、日本森林学会が100周年を記念して選定した100の林業遺産の内、2013年度に3番目に登録された意義ある地です。(2014,2015、2016年度当会の活動内容参照)

 発祥の地を記念した設置された石碑までの林道を整備する活動を2014年より行ってきましたが、今年もまた下記要領にて活動を行います。森林内での活動は、単に林内の環境を整備するということに留まらず、日常を離れた空間の中で、樹木のフェトンチットを沢山浴びて心身が活性化するのを実感できること間違いありません。是非、皆様ご参加下さい。

 

主 催

NPO法人 地球の緑を育てる会

後 援

桜川市/茨城森林管理署/筑波山地域ジオパーク推進協議会

協 力

明るい社会づくり筑浦協議会

日 時

2018年4月22日(日) 10:30~15:00

場 所

茨城県桜川市真壁町大字羽鳥鬼ヶ作国有林

集合場所

くお車でお越しの場合> 
9:30 セイコーマート真壁羽鳥店(桜川市真壁町羽鳥字石田823-1)

く電車でお越しの場合> 
9:00 つくば駅A4出口(階段を上がった所) 現地へ車で送迎します。

用 意

お弁当、飲み物、軍手、作業できる服装、雨具など
(道具は主催者で準備いたします。)

スケジュール

10:30 開会式(鬼ヶ作国有林内石碑入り口)
10:40 「全国緑化行事発祥の地」記念碑へ出発(約500mの道のり)
10:50 記念碑見学&午前作業
12:15 昼食
13:00 午後作業
14:45 閉会式

活動内容

林道整備関連作業
・階段づくり
・風倒木の処理
・草刈り

申込み先

メール office@greenglobe.jp

FAX  0297-57-1539   申し込み締め切りは4月18日(水)です!

緊急連絡先

090-7840-0496 石村まで

    

5.会員・岡崎隆さんからの寄稿

 岡崎隆男さんは定年退職後千葉県から茨城県つくばみらい市に移住、時折、当会の圃場で育苗作業にご協力下さっています。筑波山水源の森づくりに関心を寄せて下さっています。

 昨年までに「筑波山の生き物たち(第1回~第5回)」の原稿をお寄せ下さいました。今回は第6回の原稿をいただきました。詳しい貴重な内容ですので、皆様にもお読み頂きたいと思います。

筑波山の生き物たち(第6回 シダ植物・種子植物)

 茨城県自然博物館は1995~96年に第一次総合調査を実施し819種を確認、過去に記録され本調査では確認できなかった種(以下文献種)は他の種に統一された4種を除き272種。また、2007~08年に補完調査を行い、新規確認57種、文献種のうち60種を再確認。合計で確認種936種、文献種212種となります。

  標高877mと低く、山頂から麓まで3kmとこじんまりした山に、多様な植生がみられます。この理由は「つくばの自然史1 筑波山」(学園都市の自然と親しむ会編1992年)に分かりやすく記載されているので、引用します。

  1. 山麓から山頂にかけて明確な垂直区分がみられる。山麓は暖温帯性の常緑広葉樹(アカマツ・コナラ・スダジイ等)、中腹に常緑樹林と落葉樹林の中間帯(モミ・アカガシ・スギ・シキミ等)、山頂に冷温帯性の落葉樹林(ブナ林)。茨城県は北部山岳地帯が冬に落葉する冷温帯林、平野部が常緑の暖帯林とそれぞれの境界地帯。標高が100m上がると気温は0.6℃低くなり、筑波山では中腹と山頂の温度差は3℃、ちょうど森林帯の境界付近にあるため、わずかな標高差でも著しい垂直的な森林の移り変わりがみられる。
  2. 筑波山の中腹(標高200~300m)に麓より気温の高い斜面帯が存在する。夏ははっきりしないが、冬に顕著に現れる。1月の平均気温は2℃高く、西斜面と南斜面では4℃、最低気温では5~6℃の差にもなる。冬の平均気温の差はつくば市と房総半島の海岸部に相当し、温暖性植物の生育を可能としている。その発生メカニズムは、冬の雲のない夜には放射冷却により地面近くの空気だけがどんどん冷やされ、上空に暖かい空気が取り残される。中腹の空気も一旦冷やされるが、冷却された空気は重くなり斜面を下る山風になり、上空にある暖かい空気を引き下ろす循環を作り出す。このように中腹は気温が高く筑波山はミカンの北限にあたり、古くからフクレ(福来)ミカンを栽培している。直径3cmと小さく酸っぱくて種も多いが、皮は薄く香りが強い。皮(陳皮)が筑波名産・七味唐辛子に使われている。
  3. 筑波山は古事記などに、筑波神・筑波山神などとあるように先史時代から山全体が信仰の対象であったと思われ、自然が守られてきた」(要約)。 さらに、水郷筑波国定公園として保護されている。1959年霞ケ浦・潮来・佐原などの水郷地帯、鹿島神宮・香取神宮、犬吠埼から屏風が原に至る海岸線を含め水郷国定公園に定められ、1969年筑波山・加波山地域を加え水郷筑波国定公園になった。筑波山山頂付近と南面は最も規制の厳しい特別保護地区に指定され、次の事項などは知事の許可なく行うことはできない。

      ①木竹の伐採・損傷

      ②木竹以外の植物の採取・損傷

      ③木竹の植栽

      ④木竹以外の植物の栽培・種まき

      ⑤火入れ・たき火

      ⑥昆虫を含む動物の捕獲・殺傷・卵の採取

      ⑦動物を放つこと。

 特別保護地区以外も特別地に指定され、指定植物(現在127種指定)は②と同様に規制。③⑥を除き同じ扱いとなる。尚、⑥は動物保護法・動物愛護管理法・鳥獣保護法で規制される。

 「筑波山水源の森づくり」はスギ・ヒノキの一部を伐採し、シラカシ・ウラジロガシ・アカガシ・スダジイ・タブノキなどを植樹し針広混合林を目指していますが、許可を受けて実施しているものです。

 一方、文献種が212種と多く、この中に県RLが54種含まれている。筑波山の自然環境に影響を及ぼした事項として、

  1. 大正11年(1922)中腹までの自動車道路開設。翌12年登山バス運行開始、14年にケーブルカー開通
  2. 昭和に入り、山頂北面にスキー場が計画されたが失敗。5~6年頃からグライダー練習場となるが、この時北面の森林を広く伐採
  3. 昭和13年(1938)山津波発生、直径1.5mのモミの大木が立ったまま流下
  4. 戦時中に多くの樹木を伐採・松根油の採取などで山が荒廃。筑波山神社は昭和20~23年頃荒れた山の緑化に取り組み、ヒノキ・スギなどを植林。戦後の復興を願う当時の時代背景から建材としての針葉樹が選ばれたと思われる
  5. 昭和27~59年山頂付近に8つ無線中継施設建設。雨の多い日本の土壌は酸性型。電波塔土台のコンクリートはアルカリ性の石灰を主原料としており、抽出液が土壌をアルカリ性に変える。もともとアルカリ土壌を経験していない日本の自然林は、こうした建造物が増えるとその生育の場を帰化植物に奪われ、衰退してしまうと云われる。また、コンクリートの建物は強い日差しを受けると暖まり、輻射熱を放出し樹木に悪い影響を与える。アズマネザサは電波塔の建設時に運び込まれたと思われる
  6. 昭和40年(1965)ロープウエイ開通
  7. 昭和59年(1977)頃より松枯れが続き、大量の薬剤が空中散布された。マツノザイセンチュウ(寄生生物・日本の侵略的外来種ワースト100)は0.6~1.0mm、造船用に輸入された木材に付着して1905年長崎に上陸したと推測、1982年までに北海道と青森県を除きほぼ全国に拡大。原産地の北米では松枯れを起こさないが、日本ではアカマツ・クロマツに寄生しマツの細胞や糸状菌を食べることにより枯れ死させる。アカマツ林下に生育していた筑波山固有種ツクバウグイスカグラ(スイカズラ科)や種の保存法で希少種に指定されているアツモリソウ(ラン科)は絶滅、ハルゼミやニホンリスにも影響
  8. 高度経済成長期以降の草地の開発・湿地の埋め立て・森林の伐採
  9. 休耕田・耕作放棄地、雑木林の萌芽更新・下草刈りや草地での草本の刈取・茅場の更新がされなくなるなど里山農業の変貌
  10. 温暖化の影響
  11. 筑波エクスプレスの開通により増加した観光客・登山者による踏圧

等々が指摘されます。

 植生についての知識が全くありませんので、減少の著しいラン科植物・筑波山の標本をもとに名前の付いた基準標本・七草・ブナ林・希少種・生態系被害防止外来種などテーマごとに紹介していきます。地球の緑を育てる会が行っている「筑波山 水源の森づくり」が植生に及ぼす影響(効果)に興味を感じます。立派な針広混合林に育っている10年以上前の植樹地と最近の植樹地、まだ実施していないアズマネザサの繁茂しているヒノキ林の植生はどうなっているのでしょうか。どなたか教授いただければ大変ありがたいです。

  スギ・ヒノキなどの人工林は人間が定期的に間伐しないと木材生産性機能を損なうのみならず、緑のダム機能の劣化が起こることが科学的に検証されています。

「間伐などが放棄された森林では立木密度が大きく樹冠が閉塞、林内に到達する日射量の不足により林床の植生が消滅し、表面流の発生や表土の流出が生じる。荒廃した40年生のヒノキ林の林床では、植生や有機物層がほとんど見られず、土壌がむき出しになっている。これに対し広葉樹林では、低木の広葉樹や林床植生の被覆が認められる。4年間の調査結果、表面流の発生はヒノキ林がスギ林を含めた他の樹種より多い。新しい水(今回の降雨でもたらされた水)と古い水(降雨前から流域に貯蔵された水)との割合でもヒノキ林が他の樹種より新しい水が多い。また間伐することにより雨が葉に付着して蒸発するものが減少し、地下水涵養量が増大することも明らかになった。さらに汚濁水などを減少させ水質の向上が望める(要約)」(緑のダムの科学 人工林荒廃と水・土砂流出に関するプロジェクト 2014年築地書館)。

  会報「どんぐりくん」にちなんで、どんぐりの話を紹介します。狭義にはクヌギの果実、一般的にはブナ科コナラ属(ナラ・カシ類)を総称。団栗の団は「花より団子」の団で丸いこと、丸い栗を意味、あるいは独楽(コマ)にして遊んだことから、独楽の古語(ツムグリ)がドングリになり、団栗は当て字との説もある。「どんぐりころころ」は大正11年に作られ、昭和22年小学校教科書に使用され広く普及。「日本の歌百選(平成19年発表)」に選ばれ、金田一晴彦に「赤とんぼ(夕焼け小焼けの・・・)」「七つの子(烏なぜ鳴くの・・・)」とともに日本三大童謡の一つと評された(童謡・唱歌の世界1985年教育出版)。残念ながら昭和末期から徐々に姿を消し、平成に入りほとんど掲載されなくなりました。復活を目指して、どんぐりを植えましょう。 ( 岡崎 隆夫)