地域活性化フォーラム 「いま なぜ木か」~世界に誇れるもの~が開催されました。【2017年3月20日】
3月20日(祝日)、イトーキイノベーションセンターSYNCAで地域活性化フォーラム「いま なぜ木か ー日本が世界に誇れるものー」が開催されました。2月26日開催の森育ワークショップ(育てる、植える、伐る、使うの木の循環の体験)を受けての木使いをテーマとした内容です。220名の多くの方々が参加されました。
建築家・隈研吾氏の基調講演
木を使うこと、それは今や世界中の関心ごとであり、地球温暖化防止に役立ち、森の健康維持のためにも木を使う必要性があるとのお話から始まりました。
これまで同氏が手がけられた代表的木造建築物・栃木県の広重美術館、万里の長城の竹を使用した家、檮原の木橋ミュージアム、太宰府のスターバックス、浅草観光センター、長岡市役所、フランスブザンソンの文化センター、木のトレーラーハウスなどの建築物や、品川新駅や東京オリンピックの新国立競技場などこれからの建築も映像で紹介されました。
第二次世界大戦時、米軍の攻撃で明治神宮の社殿は焼失したものの、周囲の森は燃えなかったことがアメリカにとって驚異であったことなどの話も紹介されました。森の存在は命の根源、その森の木々を使用することが人間生活にも多大な貢献をする結果となるのであり、世界各地で木造建築物の足跡を残す同氏の活躍は、樹木の循環を活かす建築世界の第一人者であることを証明する講演内容でした。
隈研吾氏
法隆寺の宮大工・西岡常一氏の内弟子・小川三夫氏の講演
「自分の刃物を持ち、執念のものづくりが大事であり、電動工具では工作になってしまう。手と身体を使って長い時間をかけ記憶し体得していくと勘となっていく。本物とは心を打つものであり、西岡棟梁の下では、新聞テレビから離れ一年間刃物研ぎだけ、特に何も教えてくれなかったが、一緒に生活して分かるものだ、厳しさのない優しさは甘えである。
木は山に生えていた通りの方向で使ってこそ生きる、石の上に柱を置くだけだが、木の癖をつかみ、不揃いの木を組上げるのは木との格闘であった。昔、海岸から60㎞奥の23,5mのアカマツを下ろすのに10万人、4千頭の牛を使ったと言われている。
山から木を下ろすことができれば、建物を建てたのも同然と言われるほどだ。現代のような図面もない、工具もない時代の建物は汗と知恵と技の結晶だ。現在の豊富な知識をもって知恵を絞り出していこう。」というようなお話で、非常に含蓄のある講演でした。最後に古代建築部材を仕上げるたけに使用されていた槍鉋の実演もあり、なかなか観ることのできないその使用に皆魅了されました。
小川三夫氏
槍鉋の使用説明をする小川三夫氏
子供体験発表
NPO法人地球の緑を育てる会理事長の石村章子から活動紹介があり、苗木づくり、植樹、道普請等の活動に参加した日本文化書道院玲書館の小中学生等が、その体験を認めた書を披露、同時にその想いを発表しました。成長期のこのような体験は、都会に暮す子供たちの自然への関心が目覚め、心の財産となっていくことでしょう。
体験発表
パネルディスカッション
パネラー
小川三夫氏・宮大工
白田祥章氏・東京藝術大学講師、一般社団法人TOBUSA代表理事
平田美沙子氏・林野庁図書資料館総務係長
小島勇氏・株式会社イトーキソリューション開発本部Econifa開発チームリーダー
コーディネーター
斗ヶ沢秀俊氏・毎日新聞社健康医療・環境本部長
宮大工としての小川氏のほか、各地で木工のワークショップを開催する白田氏、林野庁に入省、林業の楽しさを紹介するイラストを林業専門雑誌に掲載したことで話題を集める平田氏、国産材を買い付け、それを活かしたオフィス、家具、内装材、などの商品企画、開発を手がけ、森と街をつなぐ地域活性化活動を企業として行う小島氏の話など、多方面からの木材活用が伺え、豊富な内容に時間が足りない感じでした。
パネラー
左から 斗ヶ沢氏、小川氏、白田氏、平田氏、小島氏
展示内容
一般社団法人TOBUSAの作品展示:木材を活用して作られた作品の展示
公益社団法人国土緑化推進機構:はげ山写真展
日本文化書道院玲書館:木の板を活用して樹種名を書いた書道展示
NPO法人地球の緑を育てる会:苗木づくり、植樹、道普請等活動写真展示
一般社団法人TOBUSAの作品展示
ハゲ山写真展